「このグラブ、直せるかい?」
お客様のKさんが、かなり年季の入ったグラブを片手にご来店された。
Kさんはとてつもなくグラブが大好きで、
自分の趣味≠野球
自分の趣味=グラブ
という、野球というよりも、グラブを愛する人だ。
「これは学生の時、親父に買ってもらったグラブで、
このグラブだけはずっと大切にしているんだ。
ここは修理も出来るでしょ?
かなりボロボロだけどさ、直してくんないかな?」
そう言って差し出したグラブは、
ミズノのビッグエムラベル世代、
ワールドウィンと書かれたミズノのグラブだ。
今は社会人となり、
毎年のように新しいグラブを手に入れているKさん。
コレクションのグラブたちは大切に自作の棚に飾られている。
「使うためというより、鑑賞用でもあるね」
と笑う。
「社会人になってたくさんグラブを買えるようになったけど、
やっぱり一番大切なのはこのグラブなんだ。
こんなにボロボロなのに、
直してもらえることがわかって嬉しいよ」
と笑顔でグラブを渡してきた。
数日が経ち、修理後のグラブを見たKさん。
ほんの少し目を潤ませながら
「こんなに復活するんだね。めちゃくちゃ嬉しいわ」
と、感謝の言葉とともにグラブをお受け取りいただいた。
その時のビフォーアフターの写真はこちら。
https://peraichi.com/landing_pages/view/glove-syuri-kako-lp
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こちらは実話をストーリー調に書きました。
先日も、
「亡くなった親父が買ってくれたグラブなんです。使うことはないかもしれないけど、綺麗に直しておきたくて」
と、20年ほど前に大流行したゼットのグラブを送ってきてくれたお客様がいらっしゃいました。
グラブを購入する時って、そこに親子の会話があったり、
「どうしようかなぁ?これでいいかなぁ?」
という、自分自身との対話があったり、
店員さんに相談して、アドバイスをもらったことが印象に残っていたり、
何かと記憶に残る、
「思い出に残る瞬間」
がたくさん隠れています。
その大切な思い出は、
せっかくなら綺麗に残しておきたいと思いませんか?
「今まで頑張ってくれてありがとう」
って、最後に修理をして、そして部屋に飾っておく。
それもグラブに対する大きな愛情なのではないかと思いました。
修理や加工ができるお店は、意外と多くはありません。
私たちは、そんな修理や加工をたくさんお受けできるくらい、スタッフの技術レベルも上がりましたし、人も増えました。
「相談できるお店」だからこその大きな存在価値。
大切なお仕事をさせていただいています。
本当に感謝ですし、
私はこの会社を誇りに思っています。
今回のコラムはいかがでしたか?
私はグラブを作る会社にいましたから、よりグラブに対する思い入れは強いかもしれません。
修理をして、ずっと使い続けられる。
本当にいいグラブは、使い捨てではなくて、一生使い続けることが出来るといっても過言ではありません。
そう考えると、とってもエコな品物なのかもしれませんね。
あなたにもきっと、大切なグラブがありますよね?
それは、今使っているグラブでしょうか?
それとも、初めて手に入れたグラブでしょうか?
人の思い入れが宿ったグラブ。
そんなグラブを永く使い続けられるようなお手伝いが出来たなら幸いです。
今回も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。