地域と親子のつながりを深める「気持ち」のかたち
8月23日、SSKさんの協力のもと「端材を使ったトレーニンググラブづくり」の体験イベントを開催しました。参加してくれたのは、小学1年生から中学生までの10名の子どもたち。午前の部に3名、午後の部に7名、親子でのご参加もあり、子どもたちの笑顔と真剣な表情がたくさん見られる、楽しくてあたたかい時間になりました。
私たちスポーツショップ古内は、「ただ道具を売る店」ではなく、「成長のきっかけを届ける場所」でありたいといつも思っています。
今回のイベントは、
- モノの構造を理解し、作る
- モノを大切にする
- モノに感謝する
ということが伝わってくれたら嬉しいなと思い開催しました。
トレーニンググラブづくり、その設計と準備の裏側

このグラブづくり体験、実は見た目よりもずっとむずかしいんです。私や、SSKのグラブ開発の方が真剣に作っても、完成までに30〜40分かかります。だから、初めて挑戦する子どもたちが一人で作ろうとしたら、4〜5時間はかかってしまうと思いました。
そこで今回は、短い時間でも「できた!」という達成感を味わってもらえるように、いろいろな準備をしました。
- 紐を通す手順がわかりやすいようにマニュアルを作成する
- 手順を間違えやすいところはあらかじめスタートだけ通しておく
- ウェブの部分はあえて手つかずにし、大変さを体験することで大きな達成感を味わってもらう
最後の仕上げだけは自分でやってもらうようにしました。そうすることで、「自分の手で完成させた」という気持ちを持ってもらえるようにしたのです。
驚きの成長スピードと、学びの芽生え

「こんなふうになるんだ!?」
完成したトレーニンググラブを手にした子どもたちの顔は、とってもうれしそうでした。
作った後には、実際にそのグラブを使ってキャッチボールやゴロ捕球の練習もしました。すると、道具の作りを理解したためか、手のひらでしっかり捕ること、力を入れすぎないこと、指の使い方など、ほんのちょっとの説明で自然にできるようになっていたのです。
「グラブを作るのってめっちゃ楽しい!」と言ってくれた子や、「グラブづくりってこんなに大変なんだ!?これ全部手作りなんですね!初めて知りました!」と話す親御さんもいました。モノづくりのむずかしさと楽しさ、その両方を感じてもらえたと思います。
SSKの思いと、端材という素材のこと

今回のイベントで使った材料は、SSKの工場でグラブを作るときにどうしても出てしまう“端材”です。これは、グラブとして商品にするにはちょっと使いにくい部分で、厚さがバラバラだったり、シワが入っていたりします。
でも、そのまま捨てるのはもったいない。そんな中、「この革を子どもたちの学びのきっかけにできないか?」と考えてくださったのが、SSKの開発チームでした。
この取り組みには、
- モノづくりの現場を知ってもらいたいという気持ち
- 道具を自分で大切にできる人になってほしいという思い
- グラブの魅力をもっと知ってもらいたいという願い
が込められています。
特に印象に残ったのが、開発者の浅見さんの言葉です。
「私たちSSKは、皆さんに対して何が出来るでしょうか?」
シンプルですがとても深い質問でした。
いいものを作るだけじゃなく、もっと人の役に立ちたいという気持ちが強く伝わってきました。私も「人のためにできることを考えて動く」ことの大切さを改めて感じました。
自分の手から始まる、「誰かの役に立つ力」

自分で作ったグラブは、自分だけの宝物。でも、その作り方を知っている子が、友達のグラブの紐がほどけたとき、「直してあげようか?」と言えたら──それは、もう立派な“誰かの役に立つ力”です。
「自分のためにやったことが、誰かのためにもなる」
スポーツの世界では、そんな場面がよくあります。この体験も、きっとそんな価値のあるものだったと思います。
私はこうしたことはとてもいい学びの一つだと思っています。
「与えてもらう人ではなく、与えてあげられる人になる。」
「相手の立場になって考える力」や「自分の手で人の役に立てるという自信」を持ってほしいです。
私は、「自信を持つ」ということは、「ありがとう」と言われた数に比例すると思っています。
勝負に勝てば勝つほど自信を持つ、ということもあるかもしれませんが、私の考えは、「誰かに喜んでもらえた経験の回数」が、自分を信じる力になる。と思います。
だからこそ、こうした体験の積み重ねが、これからの子どもたちの人生の土台になってくれることを願っています。
SSKの端材トレーニンググラブは商品化されるのか!?
参加してくれた子どもたちや親御さんの声を、SSKの皆さんにしっかり届けていくことが、次のステージにつながります。たとえば、もっと多くの子が体験できるようにしたり、商品として形にするなど、いろんな可能性があります。
「またやりたい!」
「自由研究にも最高でした!」
「こんなに集中してる姿、久しぶりに見ました」
そんな声をたくさんいただきました。
私たちスポーツショップ古内は、これからもこうした体験を通して、道具の良さ、モノづくりの楽しさ、そして「自分の手でやってみることの大切さ」を子どもたちに伝えていきます。
そう、今回のこの企画。
実は今回で始まり、そして今回で終わるかもしれないのです(笑)
というのも、実は労力がすごすぎて、利益につながりにくい、ということが挙げられます。
現時点では、単純に革を型抜きのように裁断して作ることは出来ないのです。たしかに捨てる部分なので革としての原価はかからなくても、ここに携わる人の数と時間は意外と普通にグラブを作るのと違いがありません。
採算が合わなければ企業としては続けていくことは出来ない。
だけど、「これは環境にも優しいし、企業としても採算が合う!だから継続していこう!」と思って商品化にまで進めて行ってもらうためには、このグラブの商品化を望む声がたくさん必要です。
イベントは終わりましたが、ここからがスタートで、商品化に向けて話し合いをし、是非とも永続的に喜んでいただける企画開発につなげてもらいたいと思っています。
端材を使う。捨てるはずだったものが活用される。
私はこうした考えがとても好きなんです。
以前、私が大学生の時に、ある小説を読んだ時にこんな話がありました。
内容はうろ覚えなのですが確か、魔人が出てきて、
「ここにドレミファソラシドの音階で泣く赤ちゃんのグループがある。しかしこの鳴き声はきれいな和音で形成されているはずなのに、それを邪魔する赤ちゃんがいる。このグループたちをきれいな和音で泣くように揃えたい。不要な赤ちゃんを取り出してくれ。」
という物語です。
主人公はそれぞれのグループの前で目を閉じて耳を澄まし、不協和音を作っている赤ちゃんを見つけ出します。そしてその赤ちゃんをグループの中から1人ずつ抜き出します。
そうすることできれいな和音で泣く赤ちゃんグループが出来ていきました。
しかし、不協和音を作っていた赤ちゃんたちを並べると、
実はその子たちで形成されたグループも、きれいな和音となっていることに気が付きました。
そこで主人公はその魔人に言います。
「この中に不要な赤ちゃんは一人もいませんでした」
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ロックバンドJanne Da ArcのボーカルのYasuが書いた小説「ANOTHER STORY」より
この小説と同じとは言えずとも、不要なものというのは活用の方法がわかれば、もしかしたらいい使い道というのはたくさんあるのかもしれない。と思います。
私たちの身の回りに、同じように利活用できるものがないか、見直してみたいですね。
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