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皮から革へ

こんにちは!

いつもコラムをお読みくださいましてありがとうございます!

今回は、

「皮から革へ」

と題してコラムを書いていきますね!

さて、前回のコラムでは、

「良い革を見分けるコツ」というコラムを書きました。

その革の見分け方として、

「音を聞く」

という、ちょっと変わった方法をご紹介しましたが、今回はスポーツショップ古内の社員たち4人で皮を鞣(なめ)して革にする行程をになっている「ジュテルレザー」さんという鞣し工場にお伺いしてきました!

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工場見学
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先日、私たちは埼玉県草加市にある「ジュテルレザー」という革鞣し工場を訪れ、グラブの革を鞣す工程を見学してきました。

スポーツCVさんと竹中スポーツさんと仲良く工場見学です!

みんなとグラブ談議に花を咲かせながら、ワクワクした気持ちで向かいました。

まずは工場の入り口で、牛の革を使わせていただいていることへの感謝の気持ちを込めて、花を手向けました。命あったものをグラブとして生まれ変わるために使わせていただくその尊さに対して、全員が手を合わせます。

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鞣し工程の見学
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工場内に入り、鞣し工程を直に目で見ることができました。大きなドラム缶のような機械が回り続け、その中に原皮が入っていました。毛抜きや血抜きが施された原皮は、触ると非常に柔らかくグネグネした感触で、いつも触っているグラブの革とは全然違う触り心地でした。

そうそう、その色は真っ白だったのですが、実は黒毛和牛の皮であると知り、驚きました。

私たちの頭皮も、丸坊主にしたら頭皮は白いことがわかりますよね。

黒毛和牛も同じだったんですね!

次に、クロム鞣しとタンニン鞣しの革を触り比べ、硬さや弾力の違いを感じました。クロム鞣しの革は、柔らかくて強度が高く、耐久性に優れています。一方、タンニン鞣しの革は、時間をかけて自然な風合いと深い色合いが生まれ、使い込むほどに味わいが増します。

現在、市販されているグラブの多くはクロム鞣しの革を使用しています。

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色付けと職人技
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次に、色を施された革を触りました。色は様々な染料や顔料を巧みにブレンドして希望のカラーに仕上げていきます。このカラーを出すのも職人技で、「こういう色を作りたい」と依頼されると、「この色とこの色をこれくらいの配合で混ぜる」といった具合にブレンドします。薬品や染料もそのままストレートに使うことはほとんどなく、様々なブレンドをすることで今の風合いやカラーが出るのです。

よく「カラーによる硬さや風合いの違いはありますか?」と質問されますが、これは「あります」。カラーによって薬品の配合や染料の違いがあり、ブラックはしまりやすく、ブロンドなどのキャメル系はぼわっと膨らみやすい特徴があります。特にパリッとしまりのある革は、ブラック、レッド、イエローが作りやすいそうですよ。

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鞣した革の弾力
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次に、鞣した革の弾力を確かめました。グッと握ると跳ね返ってくるような革のことを「コシのある革」と表現します。コシが強くて張りがある革は硬く、バシーンと硬い音がしますが、硬すぎるとボールが跳ねてしまうため、適度な柔らかさが必要です。

そのために「バイブレーション」という工程で革の中の脂などを「揺らして移動させる」ことで均一化し、弾力を持たせます。この工程も職人の技が光ります。

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最後の仕上げ
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最後に革の表面を滑らかにする作業です。

熱を帯びたローラーで革を伸ばすことで、革の中の脂が反応し、光沢が生まれます。ローラーを通す前の革にはわずかな凸凹感がありましたが、ローラーを通すことで非常になめらかな触り心地になります。

見学の最後には、プロ野球選手が選んだ革なども見せていただきました。職人が「これはいい革が出来た!」と思っても、ユーザーが違う革を選ぶこともあるそうです。感覚の違いは年代や個人によっても異なるため、革作りには終わりがないと感じました。

※撮影NGであったため、写真はございません。

本当に良い革は、ノンメンテナンスでも部屋に置いておくだけでツヤがあり、輝いています。鞣し工場の社長室に置いてあったグラブは、20年間何もしていないのにピカピカでした。しかし、実際に使用するグラブはメンテナンスが必要ですから、皆さんはぜひ、しっかりとメンテナンスしましょうね!

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個人的感想として
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命への敬意と感謝

最初に牛の命に感謝して花を手向ける、ということが非常に印象的でした。革という素材がどのようにして生まれるのか、その背景にある命への敬意を示す。私たちが普段手にするグラブの原点。これは、単なる素材ではないんです。その背後にある命と労力に対する深い感謝を、より大切にしていこうと感じました。

鞣し工程の細かさと職人技の素晴らしさ

鞣し工程についての説明から、革が完成するまでの複雑さと職人の技術の高さを改めて実感しました。クロム鞣しとタンニン鞣しの違いや、革の色付け、弾力を出すためのバイブレーションなど、どの工程も職人の経験と技術が必要とされるもので、簡単に機械では代替できないものだなぁと感じました。

革の個性と多様性

グラブ作りには非常に繊細な感覚が求められることが分かりました。また、同じ素材でも鞣しの方法や最終仕上げの違いで全く異なる製品になることに驚きました。同じ原皮を使うのに、レシピの違いで全く風合いの違う革になる。その奥深さに心から感動しました。

プロフェッショナルの視点

プロ野球選手が選ぶ革や職人のこだわりについての話は、ただ販売しているだけでは知り得ない貴重な情報でした。プロと職人の目利きが合致することもあれば、異なることもあるという点は、製品作りの奥深さを感じさせます。また、プロの人の要望とそれに答えようとする双方の歩み寄りに、深い人間味を感じました。

最後に

私たちはこうして、革の鞣し工場に行ったのには理由があります。

もっとお客様に正確な情報を届けたい。そして、グラブを1つ作るのには、これだけ多くの人の手が加わっていること、尊い命を使っているのだということ、こうしたことを私たち自身がしっかりと感じて、お客様へその感動を伝える伝道師とならなければいけないと感じているからです。

今は情報社会。簡単にインターネットで「このグラブがいい」「この革がいい」など情報を得ることが出来ます。

ですが、会ったこともない人、実名を公開もせずに発信している人、さまざまいらっしゃいます。

時には正確な情報も確かにありますが、やはり熱意をもってお客様に直に伝える店員がいるお店でグラブの情報交換をした方が、有益なお買い物となることは間違いありません。

是非とも専門知識のあるお店でお買い物をしてください。

グラブはとても高価な買い物。しかし、特に硬式グラブなどは、一生使えるくらいの素晴らしいお買い物です。使い捨てではなく、修理をしてず~っと使い続けることが出来ます。

今後は、生きていた時にキズがついてしまった革なども、捨てずに活用できる方法はないかと考えていくつもりです。

今回、私たちと一緒に工場見学に付き合ってくれた

千葉県のスポーツCV様、岐阜県の竹中スポーツ様とも、アイディアを出し合って、よりSDGsな品物にしていこうと考えています。

やはり原点を知るということはとても大切なことですね。

この「皮が革になるまで」というコラムはかなり熱の入ったコラムとなりました。

大切な命を使わせていただいていると思うと、より品揃えの際も感謝をして陳列していくことになりそうです。

もっともっといいお店にしますよ。

是非お楽しみにして、ご来店くださいね!