
豪州から届いた一通のメール
一通のメールが届いたのは、今年に入ってからでした。
送り主は、オーストラリアのダコタ・ミッチェルさん。
アデレードで「Viper Baseball Academy」という野球のアカデミーを運営されている方です。
当店でグラブを買ってくださったのがきっかけでした。日本製のグラブに感銘を受けて、教えている選手たちにも紹介してくれているとのことでした。
そこから、何度もメールのやり取りが続きました。
「日本の野球は素晴らしい。もっと知ることができたら嬉しい」
そう書いてくださっていました。
※やり取りは英語なので、本文は内容を直訳しております。
指導者として海を越えて来日
ちょうどその頃、リーガサマーキャンプの募集が始まっていました。
甲子園に出場しなかった高校3年生が、個人で参加できるリーグ戦です。当店はゴールドスポンサーとして協賛しています。
このキャンプは、選手だけでなく、指導者の参加も歓迎していました。
それで、こう返信してみたんです。
「ダコタさん、日本の野球を知りたいのなら、日本のプレイヤーを指導する、ということを経験してみませんか」
そうしたら、本当に来ました。
南半球から、はるばる。ピッチングコーチとして。
正直、驚きました。この行動力は、なかなかできることではありません。
メールに綴られた感謝の想い
キャンプが終わる頃、ダコタさんから一通のメールをいただきました。
丁寧に綴られた、長いメールでした。
そこには、こんなことが書かれていました。
日本に来たことは、人生でもっとも実りある経験のひとつになった。 毎日、日本の野球だけでなく、日本の文化や価値観についても学んでいる。 細部へのこだわり、規律、チームワーク、敬意、誇り。本や動画では決して学べないことを教わった。 そして、みんなが家族のように迎えてくれた。それは一生忘れない。
そして最後に、こう結ばれていました。
オーストラリアに帰ったら、学んだことを選手たちに伝えたい。日豪の野球の関係を築いていきたい。これが、長い友情の始まりであることを願っている。
僕は、こう返信しました。
私はただ、小さな扉を開けただけです。
その後に起きたことは、全部あなた自身が持ってきたものです。 どう観察したか、どんな質問をしたか、選手や周りの人にどんな敬意を示したか。
みんながあなたを歓迎したのは、私の紹介があったからではなく、あなたがそういう人だからです。
そして、もうひとつだけ書き添えました。
うちの店は、道具を売ることが関係の終わりではなく、始まりだと思っています。だから、何でも聞いてください。選手のグラブのことでも、修理のことでも、日本ではどうやるのかということでも。
距離があるからといって、誰かのグラブを気にかけることをやめたことはありません。
旅の記念に選んだミット
すると、ダコタさんから返信が来ました。
「キャッチャーミットを買いたいのですが、置いていますか」
この旅の記念に、日本で一つ買って帰りたい。新品でも、型付け済みでも、状態のいい中古でも構わない。あなたの意見を信頼しているので、おすすめを聞かせてほしい、と。
エスコンフィールド北海道での最終戦の日、僕は3つのミットを持っていきました。
その中の一つは、「きっとこのデザインは好みだろうな」と思って選んだものです。
以前買ってくださったグラブから、なんとなく好みがわかっていたので。
そうしたら、迷わずそれを手に取りました。
「これが一番クールだ」
ゼットの軟式キャッチャーミット、プロステイタス。日本製です。
道具がつなぐ国境を越えた縁
こうして、グラブ一つから始まった縁が、また一つのミットに戻ってきました。
来年は、アデレードで教えている選手を4人連れてきたい、と言ってくれています。
一枚のグラブが、地球の反対側の人とつながって、その人が日本に来て、日本の野球を学んで帰って、来年は5人になる。
道具屋をやっていて、こんなことが起きるとは思っていませんでした。
売ることは、終わりではなく始まりだ。
そう言い続けてきましたが、まさかここまで遠くまで続いていくとは。
▼ Viper Baseball Academy(オーストラリア・アデレード) https://www.instagram.com/viper_baseballacademy/
野球のことも、道具のことも、わからないことがあったら、お店でもLINEでも気軽にご相談ください。売って終わりではなく、買ったあとも一緒に考えるお店です。




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