革の『なめし』って何?クロムなめしと植物性なめしの違い
札幌市南区の野球専門店「スポーツショップ古内」店主・古内克弥です。
「革の“なめし”って、よく聞くけど結局なんのこと?」——お店でもよくいただくご質問です。実はこの工程の違いが、手触りや馴染み方を大きく左右しています。
▼ 先に結論
なめし(タンニング)とは、動物の皮を腐らない「革」へ変える加工のこと。大きく分けてクロムなめし(数日で安定・大量生産向き)と植物性(タンニン)なめし(数週間〜数ヶ月かけて自然な風合い・使うほど味が出る)の2種類があります。市販品の多くはクロムなめしです。
そもそも「なめし」とは?
牛や馬から取れたばかりの皮を「原皮(げんぴ)」と呼びます。毛を抜き、血を抜いた状態の原皮は、やわらかくてグネグネで、私たちが知っている革とはまったくの別物。このままでは時間が経つと腐ってしまいます。
そこで必要なのが「なめし」という加工です。薬品や植物の成分を皮にしみ込ませることで、腐らず・乾いても硬くなりすぎない、丈夫で長く使える「革」へと生まれ変わらせます。なめしを経て初めて、道具の素材として使える革になるのです。
クロムなめしと植物性なめしの違い
なめしの代表的な方法が、この2つ。それぞれ得意なことが違います。
| クロムなめし | 植物性(タンニン)なめし | |
|---|---|---|
| かかる時間 | 数日ほど | 数週間〜数ヶ月 |
| 仕上がり | やわらかく、強度・耐久性が高い | 自然な風合いと深い色。使うほど味が増す |
| 色付け | 多彩な染色がしやすい | 落ち着いた色合いになりやすい |
| 向いていること | 品質が安定し、大量生産向き | 少量・じっくり仕上げ。環境にやさしい傾向 |
| 使われ方 | 市販されている革製品の多くで採用 | こだわりの一点ものなどで採用 |
店主より:「どちらが上」という話ではありません。安定して扱いやすいのがクロム、時間をかけた風合いを楽しめるのが植物性。目的に合わせて選ぶものだとお考えください。
同じ革でも表情が変わる「職人の技」
なめした後の革は、さらに職人の手で表情が整えられていきます。ここに長年の技術が詰まっています。
- カラー(色)づくり=染料や顔料をブレンドして作る職人技。配合によって、ブラック系はしまりやすく、キャメル系はぼわっと膨らみやすいなど、硬さや風合いにまで違いが出ます。
- バイブレーション=革を振動させて内部の脂を移動させ、弾力を均一にする工程。
- 熱したローラーで伸ばす=脂が反応して、しっとりした光沢が生まれ、表面が滑らかになります。
同じ原料から始まっても、なめしの種類と職人の仕上げ方で、手に取ったときの印象はまったく変わります。これが革のおもしろいところです。
よくある質問
Q. 結局「良い革」ってどれですか?
A. 実は人によって最優先するポイントが違うんです。手触りのよさ、光沢、馴染みの早さ、耐久性、グリップ力、しっとり感——どれを一番に求めるかで「良い革」の答えは変わります。だからこそ、ご自身が何を大切にしたいかを一緒に整理するところから始めるのがおすすめです。
Q. 市販のグラブはどちらのなめしが多いですか?
A. 多くはクロムなめしの革が使われています。やわらかく強度・耐久性も高く、品質が安定しているためです。一方で、時間をかけた植物性(タンニン)なめしの革を使った製品もあり、使い込むほどの風合いを好む方に選ばれています。
Q. 革の銘柄やシリーズはどう選べば?
A. メーカー各社から特徴ある革が出ています(ローリングスの上位レザー、ゼットのプロステイタス系、ミズノプロ、ドナイヤ、和牛JBなど、あくまで一例です)。名前で選ぶより、求める手触りや硬さの好みを伝えていただくのが近道。お店で実際に触り比べていただくのが一番わかりやすいです。
まとめ
「なめし」は、グネグネの原皮を腐らない丈夫な革へ変える大切な加工。数日で安定して仕上がるクロムなめしと、数週間〜数ヶ月かけて自然な風合いを生む植物性なめしがあり、市販品の多くは前者です。さらに色づくりや仕上げの職人技で表情が変わります。1枚の革には多くの人の手と、尊い命が関わっています。匿名の情報を集めるより、熱意のある専門店で直接やりとりした方が、ご自身に合う革にきっと早くたどり着けますよ。
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古内克弥(ふるうち かつや)
札幌市南区の野球専門店「スポーツショップ古内」店主。野球用品メーカーでの勤務を経て、地域の野球少年・保護者・学生・社会人の道具選びをサポートしています。「売ること」よりも「その人に本当に合う道具を一緒に考えること」を大切に、グラブ・バット・メンテナンス用品まで、野球用品全般のご相談に応じています。




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