グラブの『いい革』ってどんな革?ステア・キップ・カーフの違い
札幌市南区の野球専門店「スポーツショップ古内」店主・古内克弥です。
「いい革のグラブってどれですか?」——店頭でよくいただくご質問です。革の種類と『いい革』の意味がわかると、グラブ選びがぐっと楽しくなります。
▼ 先に結論
『いい革』とは、人の肌のようにキメが細かく凹凸が少なく、光沢のある革のこと。グラブで主に使われるのはステア・キップ・和牛などの牛革で、それぞれ硬さや風合いが違います。大切なのは「高い革=自分に合う革」ではないこと。プレースタイルに合わせて革と形を選ぶのが、後悔しないグラブ選びです。
『いい革』ってどんな革?
「いい革」と言われると、なんとなく高級なイメージがありますよね。グラブの世界で『いい革』とよく呼ばれるのは、人の肌のようにキメが細かく、毛穴の凹凸が少なく、しっとりとした光沢のある革です。表面がなめらかで均一なほど、見た目にも上品で、手触りもよく感じられます。
ただ、これはあくまで「見た目や風合いの良さ」の話。後ほどお伝えするとおり、『いい革』=あなたにとっての正解とは限りません。まずは、グラブによく使われる革の種類から見ていきましょう。
グラブに使われる主な革(牛の年齢で変わる)
グラブの革は牛革が主流です。面白いことに、同じ牛でも年齢によって革の名前と性質が変わります。代表的なものを表にまとめました。
| 呼び名 | 牛の月齢 | 特徴 |
|---|---|---|
| カーフ | 生後6ヶ月以内の子牛 | とてもキメ細かく高級。ただし薄く繊維も若いため、激しく使うグラブには不向きで、グラブにはあまり使われません。 |
| キップ | 生後6ヶ月〜1年ほどの子牛 | やわらかく素手感覚に近い高級革。硬式の高価格帯グラブで人気。1頭から取れる量が少なく希少です。 |
| ステア(ステアハイド) | 成牛 | グラブで最も一般的。耐久性が高く、薄く仕上げて軽量化もできる扱いやすい革です。 |
| 和牛 | 日本の和牛 | キメが細かくミット向き。風合いは良いものの、グラブ革は北米産の牛が多く、和牛を使うグラブは少数です。 |
カーフやコードバン(馬革)など、ほかにも革はありますが、グラブには不向きで使われないものがほとんど。多くの方が手にするのはステア、一段こだわるとキップ、というのが目安になります。
店主より:「子牛だから一番いい」と思われがちですが、子牛の革は柔らかい分、たとえばキャッチャーには柔らかすぎることもあります。革の良し悪しは、使う人とポジション次第なんです。
「なめし」と「仕上げ」も風合いを左右する
牛の皮(原皮)は、そのままでは腐ってしまいます。これを腐らない丈夫な「革」に変える加工が「なめし」。現在は短期間で安定して仕上がるクロムなめしが主流です。
さらに、なめした革をどう仕上げるかでも風合いが変わります。グラブでよく使われるのが、油分をたっぷり含ませてしっとりさせたオイルレザー。ほかにも、表面を磨いて光らせるもの、起毛させてマットな質感にするもの、シボ(細かなシワ)を出すものなど、さまざまです。革の種類と仕上げを知っておくと、グラブの価格差や風合いの違いが「なるほど」と腑に落ちます。
大切なのは「プレースタイルに合う革と形」
ここまで革の種類をご紹介しましたが、いちばんお伝えしたいのはここです。高い革が、あなたにとっての『いい革』とは限りません。
- 確実に捕りたい → しっかりした硬めの革で、ポケットの安定した形
- 軽快に華麗にさばきたい → やわらかめの革で、手のひら感覚の出る形
- 型崩れさせたくない → 耐久性のあるステアなど
- 素手のようなフィット感が欲しい → やわらかいキップなど
このように、革の硬さ・風合いと、グラブの形(型)の両方を、自分のプレースタイルに合わせて選ぶのが基本です。さらにもう一つ大事なのが個体差。同じメーカー・同じ型番でも、革は天然素材なので一枚一枚に違いがあります。だからこそ、実際に手を入れてみて、自分の手になじむかどうかを確かめることが何より大切です。
よくある質問
Q. 結局いちばんいい革はどれですか?
A. 「これが万人にとって一番」という革はありません。一般的にはステアが扱いやすく、やわらかさを求めるならキップ、という目安はありますが、ポジションやプレースタイルによって合う革は変わります。手にはめて確かめるのが一番です。
Q. メーカーによって革は違いますか?
A. 違います。一例として、ステアを用いたモデルやキップを用いたモデル、オイルレザー仕上げのものなど、各メーカーがそれぞれ特色を出しています。「どこのメーカーがいい」より「自分に合う革と形か」で見ていくのがおすすめです。
Q. 安い革のグラブは良くないのですか?
A. そんなことはありません。ステアは耐久性が高く扱いやすい、とても良い革です。価格は革種や仕上げ、生産国などで決まるもので、「安い=悪い」ではありません。用途に合っていれば、それがあなたにとっての『いい革』です。
まとめ
『いい革』とは、キメが細かく凹凸が少ない、光沢のある革のこと。グラブには主にステア(成牛・最も一般的)・キップ(子牛・やわらかく高級)・和牛(ミット向き・少数)が使われ、カーフは高級ですがグラブには不向きです。さらに「なめし」や「オイルレザーなどの仕上げ」でも風合いが変わります。とはいえ大切なのは、プレースタイルに合わせて革と形を選び、個体差があるからこそ手にはめて確かめること。革の知識は、その一歩を後押ししてくれます。
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古内克弥(ふるうち かつや)
札幌市南区の野球専門店「スポーツショップ古内」店主。野球用品メーカーでの勤務を経て、地域の野球少年・保護者・学生・社会人の道具選びをサポートしています。「売ること」よりも「その人に本当に合う道具を一緒に考えること」を大切に、グラブ・バット・メンテナンス用品まで、野球用品全般のご相談に応じています。




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